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Lee-Byung-hun addicted

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『Lovers in Hong Kong 4』

『Lovers in Hong Kong 4』


太湖海鮮城。

特別高級レストランではないがコストパフォーマンスが高いことで日本人観光客だけでなく地元の人にも人気のあるレストラン。

「前に、スタッフと来たことがあって結構うまいんだよ。
適当に頼んでいいかな。
食べられないものとかはない?
えっと・・なんだっけかな。
黄油蟹の蟹味噌入りふかひれスープ。
それと・・・確か、ゆでえびも旨かったよな。
後は・・黄油蟹の小龍包。それから・・・チャーハン、しょうがが入ってるのね。それから・・・・」

ビョンホンはメニューもろくに見ずにどんどん注文していく。

「ねえ、そんなに頼んで大丈夫?」

横に座っている揺は小声でささやき、彼のTシャツの裾を引っ張った。

「ここは安いし。こんなにいるんだから簡単に食べられるよ。
揺もしっかり食べて」

彼は笑ってそういうと裾をつかんでいる揺の手をそっと握った。

「うん。」うれしそうに微笑む揺。

「何だか食べる前からごちそうさまって感じですね。」

ビョンホンが連れてきたスタッフははじめて見る彼と揺の姿に驚いている。

「あら、これぐらいでご馳走様なんて言ってたら・・・この二人といたら何も食べられなくなっちゃうわよ。
じゃ、君の小龍包は私がもらっていいかしら」

不二子はそういうとケラケラと笑った。

「私はね・・車えびと蟹の卵白炒めと空心菜食べる。」

黙ってメニューを覗いていたトメは何気なく注文を追加している。

「相変わらず元気ですね。安心しました」

ビョンホンはうれしそうに言った。

「悪いね。ビョンホン君。
お邪魔虫がついてきて。
ま、カモフラージュだと思って。
夜は揺だけ部屋別にしてあるから好きなだけどうぞ」

「あ・・ありがとうございます。」

ビョンホンはにやけながら丁寧にお辞儀をした。

「もう・・・おばあちゃんったら。」

揺はスタッフの顔色を伺って愛想笑いしながら恥ずかしそうに頭をかいている。

そんな彼女を見てビョンホンは満足げだった。




「あ~食べた食べた。
おいしかったわよ。ご馳走様。ビョンホン君。
お礼に揺ちゃんあげるから。
適当に連れてって食べて。
じゃ、あたしたちは帰るね・・」

店を出た不二子はさっさとタクシーを止めトメと乗り込んだ。

「ちょっと不二子さん・・あ~あ、行っちゃった・・大丈夫かな」

走り去ったタクシーを見送り、心配そうにする揺の顔はなぜかうれしそうだった。

上目遣いに隣の彼を見上げると腕にしがみつく。

「やっと邪魔者は去った」

「そんなこと言って・・罰が当たっても知らないぞ」

そういう彼の顔もほころんでいる。

彼はしがみついている揺の手をそっと握った。

「あの・・・すいません」

「あ!」

後ろから声をかけられて

スタッフの存在をすっかり忘れていた二人は慌てて離れた。

「あ・・お構いなく・・ビョンホンさん、じゃ・・失礼していいですか?」

「ああ・・お疲れ様。後は自分で帰るから。」

「じゃ、お気をつけて。何かあったら連絡してくださいね。
いろいろご馳走様でした。・・ごゆっくり」

スタッフはそう声をかけるとニヤッと笑って帰っていった。

二人は見つめ合ってゲラゲラと笑った。


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